J2山形は4季ぶりのJ1復帰を決めたプレーオフ(PO)決勝から一夜明けた8日、天皇杯決勝G大阪戦(13日、日産スタジアム)に向けて始動した。前日の千葉戦後、チームは深夜0時過ぎに山形に凱旋(がいせん)。この日正午から全体ミーティングと練習を再開し、先発組は軽めのランニングなどで体調を整えた。夜には石崎信弘監督(56)と選手は山形市内で行われたサンクスパーティーにも出席。昇格報告後、天皇杯での健闘を誓った。

 J1復帰を決めた山形の選手たちに浮かれた様子はみじんもなかった。約40人のサポーターが見守る中、いつも通りの段取りで練習を再開。今季の総仕上げとなる天皇杯決勝に照準を合わせた。

 練習前のミーティングでは、前日のPO決勝千葉戦のビデオを見ながら反省。石崎監督は「みんな実力通りのプレーはした。だが、こんなことをしていたらJ1では通用しない」とゲキを飛ばした。チーム初の天皇杯決勝では、今季3冠を狙うG大阪と対戦する。石崎監督は「(来季J1への)試金石になる。今までやってきたことがどれだけ通用するか。改善点も見つけやすい」と王者との対戦に意欲を見せた。

 千葉戦で決勝ゴールを決めたFW山崎主将は09年まで2年間、G大阪に在籍。「日本中のみなさんはたぶん、ガンバが勝つと思っているでしょう。J2を代表して戦うので、ほかのチームの分もいい試合をして、勝って終わりたい」と闘志を燃やした。

 PO2連戦での神がかり的な快進撃はサッカーファンを魅了した。チームの広報ツイッター登録者数は、昨年10月下旬の4701人から現在1万1851人に急増。全国的な知名度もうなぎ上りだ。各選手にも祝福メールが殺到しており、山崎主将は「50件くらい返信しましたが、まだ半分も返していない」とうれしい悲鳴。500件超のメールが届いているというGK山岸は「(G大阪に)胸を借りるのではなく、自分たちらしさを出し切りたい」と再度、山形旋風を巻き起こすつもりだ。【佐々木雄高】