J2札幌FW都倉賢(28)が、来夏以降の契約延長に合意したことが22日、分かった。札幌は15年7月までの契約を、シーズン終了まで延長するオファーを提示。その後、J1に昇格する松本が移籍金を出しての獲得オファーを出していたが、本人が札幌残留を選んだ。稲本、ナザリト、イルファンと新戦力も順調に決定。今季最も活躍したFWの残留も決まり、着実に新体制が固まってきた。

 チーム得点王の残留が決まった。今季リーグ7位の14得点の都倉には、J1複数クラブが興味を示していたが、主力の流出を阻止した。クラブ幹部は「札幌でやることの面白さを本人が感じてくれたと思っている」と話した。16年以降に関しては今後の交渉で、詰めていくことになる。

 J1の誘いを断り、札幌に残った。クラブでは、シーズン終了直後の11月24日に代理人を通じ、来夏以降の契約延長オファーを出した。都倉自身も1日の契約更改交渉を終え「プレー以外の熱さや、泥臭さも評価してくれたことがうれしい」と、基本線は札幌でのプレーを希望していた。だが、今月中旬、J1松本が正式オファー。移籍金を含めて条件を提示したが、都倉の思いは変わらなかった。

 これでバルバリッチ監督の2トップ構想の土台ができた。指揮官は新戦力FWナザリトと都倉の2トップを軸に、内村、前田らを競わせて前線のメンバーを決める方向で考えている。今季17ゴールのナザリト、14得点の都倉、昨季チーム得点王の内村らがレベルの高い競争を繰り返すことで、今季リーグ13位だった得点数を一気に上げていく。

 19日には元日本代表で川崎FのDF稲本獲得も決まり、東京VのMFニウド獲得も確実。FW、MF、DFとバランス良く進む補強に「うちのクラブ規模の中で、スタッフが本当にうまくやってくれている」と野々村芳和社長(42)。地道に選手層を厚くし、J1昇格への底力をつける。

 ◆都倉賢(とくら・けん)1986年(昭61)6月16日、東京都出身。横浜ジュニアユース、川崎F・U-18から05年に川崎F入り。08年から草津(現群馬)でプレーし、10年にJ1神戸に移籍、今季開幕後の3月6日に札幌に加入。J通算記録はJ1で64試合12得点、J2が117試合42得点。叔父は作曲家の都倉俊一氏。187センチ、80キロ。利き足は左。