国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター会長(79=スイス)は2日、スイスのチューリヒで緊急記者会見を開き、次期会長を選ぶ臨時総会を開いた後に辞任すると表明した。会長選挙は12月から来年3月の間に行われる見通しで、新会長が決まるまでは現職にとどまる。

 ブラッター会長は5月29日の会長選挙で、アリ・フセイン王子(39)=ヨルダン=を退けて5選を果たした。しかし、直前に発覚した複数のFIFA幹部を含む14人が起訴された汚職事件の責任を問う声が高まり、選挙からわずか4日後に突然の辞任発表となった。

 一方、米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は2日、米司法当局がブラッター会長を捜査対象に含めていると報じ、捜査の行方も注目される。

 同会長は声明を発表し「(選挙で投票した)FIFA加盟協会の信任はあるが、サッカー界全体の支持を得られてはいないと感じている」と説明。「選挙は終わったが、FIFAの苦難は続いている。徹底的な見直しが必要だ」と退任まではFIFAの抜本的な組織改革に全力を挙げる考えを示し、現在25人の理事数の削減や会長を含めた理事の多選制限などの案を示した。

 後任には、欧州サッカー連盟(UEFA)のミシェル・プラティニ会長(59=フランス)や、アリ王子らの名前が早くも取りざたされている。

 ブラッター氏は1998年に第8代会長に就任。ワールドカップ(W杯)で潤う資金をサッカーの振興が遅れているアジアやアフリカなどの協会に援助する仕組みを確立し、絶大な権力を握った。

 しかし、近年は金銭に絡むスキャンダルが噴出し、FIFAの腐敗体質に対する国際的な批判が強まった。今回の汚職事件とは別に、スイスの検察当局は2018年と22年のW杯招致に絡む不正疑惑で捜査を開始。英国のキャメロン首相が辞任を要求し、UEFAがW杯のボイコットも検討する姿勢を打ち出すなど、内外からの圧力が高まっていた。