右膝を負傷している日本代表FW武藤嘉紀(23=マインツ)が6日、治療に専念するために帰国した。早朝の羽田空港に、黒い帽子をかぶりメガネをかけてグレーのジャケット姿で降り立った。気づいたファンからサインを求められ、丁寧に対応。右足は引きずることなく歩いた。昨夏の海外挑戦から約10カ月。代表やオフを過ごすためたびたび戻ってきていたが、けがによる帰国は初めてだった。

 「シーズンも残り1カ月しかない。その中で無理して試合に出るよりも、来季の始動に合わせてしっかりと治すことを優先して帰国することにした」と語った。今季前半戦17試合7得点と新人として十二分の活躍を見せた。しかし後半戦3試合目で負傷し、復帰間際の3月末に再び離脱。現実味を帯びていた2桁ゴールにこだわるよりも、万全の状態に戻すことを決めた。

 今後は都内の病院などで精密検査を受けた上で治療方針を決め、リハビリを行っていく。「前回けがした箇所とは違うところかハッキリしてから、いろいろ決めていくことになると思う」。同じ右膝外側側副靱帯(じんたい)でも、再発ではなく負傷箇所が異なる可能性が高い。治療していく上で、慎重に進める必要があることは分かっている。

 「気持ちの切り替えは、ちゃんとしようと思っているんですけどね。少しずつ切り替えていければ」。プロ生活をスタートしてから3度目の春。夏にまた輝くために、今は少し骨を休める。【栗田成芳】