【マドリード=山本孔一通信員】伝統の一戦「クラシコ」でバルセロナが劇的勝利を収めた。後半ロスタイムにFWリオネル・メッシ(29)のスーパーゴールで勝ち越し、3-2でレアル・マドリードに競り勝った。メッシの決勝点は自身のクラブ公式戦通算500点目。FWネイマールが出場停止で不在の中、エースが2得点と役者ぶりを見せ、敵地でライバルを退けた。バルサは1試合消化が少ないレアルと勝ち点75で並び、得失点差で首位に浮上した。

 メッシとクラシコの歴史に、また1つ伝説が加わった。残り時間わずかなラストプレーで、自陣で球を奪ったMFセルジロベルトがカウンターを発動。ドリブルで持ち込んで、MFゴメスを経由して左のDFアルバへ。メッシは折り返しのタイミングを見計らってペナルティーエリアに走り込み、低いパスをインサイドキックでGKの手の届かないゴール左隅に突き刺した。

 後半41分に追いつかれ、引き分け濃厚とみられる中での決勝弾に百戦錬磨のメッシも興奮した。ユニホームを脱ぎ、誇らしげにアウェー席に向かって掲げた。永遠のライバルであるレアルから、自身のクラブ通算500点目で劇的勝利をもぎ取った背番号10に、ルイスエンリケ監督は「メッシは家で夕食を食べていても決定的な仕事をするだろう。サッカー史上最高の選手だ」と称賛を惜しまない。DFピケも「スペクタクルなリサイタルを見せてくれた」と喜びを表現した。

 メッシは前半20分ごろ、DFマルセロの肘が口に当たって流血した。だが、何事もなかったかのように、先制点を許した5分後の前半33分にドリブルで相手DFをかわしてゴール右隅に同点弾。後半33分には相手DFセルヒオラモスのファウルを誘って一発退場に追い込み、数的優位を手にしたのも大きかった。

 4日前には欧州チャンピオンズリーグで敗退した。ユベントスに2戦連続無得点という屈辱だった。対するレアルは強豪バイエルン・ミュンヘンを下し、明暗が分かれたが、この日は立場が逆転した。ルイスエンリケ監督は「ロスタイムに勝利というレアルのお株を奪う形で勝った」としてやったりの表情。攻撃一辺倒ではなく、組織的な守備でサイドアタックを封じたのもエースの爆発力があってのことだ。2強による優勝争いは最後までもつれることになった。