<スペインリーグ:Rマドリード2-1オサスナ>◇4日◇パンプローナ

 Rマドリードが2-1の大逆転勝利で、2年連続31度目のスペインリーグ優勝を決めた。残留争い中のオサスナ相手に、後半38分にはPKで先制を許す苦しい展開。だが同42分からの3分間で、立て続けに得点を挙げて一気に逆転した。この日の勝利で2位ビジャレアルとの勝ち点差は10に。リーグ戦3試合を残し、5連覇を達成した89-90年シーズン以来18季ぶりの連覇が決定した。(山本孔一通信員)

 1点のビハインド、1人の退場者さえ、終わってみれば優勝を彩る演出のようだった。勝てば連覇が決まるオサスナ戦は、0-1のまま後半42分へ。歓喜の瞬間は次節にお預けか。そんなムードを、FWロッベンのヘディング弾が吹き飛ばした。「1度も頭でゴールを決めたことがない。それがこの瞬間に決まるなんて」。PSV、チェルシーでリーグVを経験したドリブラーが、本人も信じられない勝負強さをみせた。

 優勝へのカウントダウンは、一気に加速した。わずか2分後。FWイグアインはスルーパスに飛び出し、右足ボレーシュートを放った。「早く優勝を決めたかった」とGKの頭上に強引にねじ込んだ。優勝請負人の2人は、たった3分間で仕事を完遂した。

 守備の要DFカンナバロを後半直後の退場で欠きながらの逆転勝利。シュスター監督は「まるでハッピーエンドのアメリカ映画のようだ」と振り返った。今季就任した同監督はドイツ人らしく、華やかな攻撃よりも、手堅い試合運びを重視。フィーゴ、ジダン、ベッカムらを擁した時期とは対照的で、当初はサポーターから反発もあった。

 そのドイツ流のサッカーで、シーズンを通して着実に勝ち点を重ねた。この日も負け試合から白星をひねり出す粘り。「銀河系軍団」も達成できなかったリーグ連覇を、いぶし銀の光を放つ「つまらないが強い」シュスター・レアルがあっさりと成し遂げた。

 7日にはホームでのバルセロナ戦が待つ。優勝を祝う舞台として、これ以上の場はない。いったんは覇権を譲ったライバルをたたきのめし、揺るぎない強さを示しておきたいところだ。同時にレアルの象徴FWラウルは言う。「来シーズンの要求が何かは明らか」。01-02年以来遠ざかる欧州チャンピオンズリーグ制覇へ、新生レアルは再スタートの準備を整えた。