セルティックが今季で契約の切れるMF中村俊輔(30)に、VIP残留オファーを出したことが26日、分かった。代理人のロベルト佃氏に対し、推定年俸3億円、契約年数は本人の自由という破格の条件を提示した。それでも相思相愛の横浜復帰が最有力視されている状況に変わりないが、セルティックの誠意を尊重して、中村サイドはオファーを寄せる欧州数クラブに、断りを入れることを決めた。中村本人はこの日、日本代表合流のため帰国した。

 中村がセルティックから最大限の誠意を示された。25日にグラスゴーを出発した本人に代わり、ロベルト佃代理人が同日、セルティック幹部と接触。現状から1億円アップの推定年俸3億円という、破格の条件提示を受けた。しかも契約年数を定めない異例のオファー。家族がすでに帰国し、単身赴任の形をとる中村にとって、いつでもJリーグに復帰できるという、最も望ましい条件だった。

 セルティックでは同日までに、ストラカン監督が辞意を表明していた。同監督は05年に中村獲得をクラブに要請し、獲得後は常に主力に据えてきた。そんな指揮官が去ることとは関係なく、クラブは中村に最高の条件を示した。監督が誰であろうと、チームの軸として期待されていることが、これで明確になった。

 ただ中村は金銭的条件よりも、実力がピークのうちに横浜に戻り、古巣に恩返しすることを重視している。推定年俸1億5000万円の2年半契約のオファーを受けた横浜に移籍することが濃厚という状況に変わりはない。それでも中村サイドは、4年間所属したクラブの、最後の誠意を尊重。ロベルト佃代理人は会談後、急ぎスペインへと向かい、水面下で獲得オファーを受けていた、Aマドリードとエスパニョールには断りを入れることにした。

 Aマドリードは、現在リーグ4位と来季欧州チャンピオンズリーグ出場圏内。エスパニョールは、手取り年俸2億4000万円という好条件を提示した。以前からスペインでのプレーが夢と語る中村にとっては、いずれも魅力的なオファーだった。ドイツのハンブルガーSVも、中村に早くからオファーを出していたが、こちらにもすでに断りの連絡を入れた。

 同代理人は今週中にも日本に戻り、帰国した中村に、セルティックのオファーを報告する予定。その後再度渡英し、セルティックに中村の最終決断を伝えるとみられる。

 [2009年5月27日7時53分

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