<欧州CL:バルセロナ3-1マンチェスターU>◇決勝◇28日(日本時間29日)◇ロンドン

 メッシが決めた。バルセロナ(スペイン)がマンチェスターU(イングランド)を圧倒し“クラブ世界最高峰大会”で2季ぶり4度目の頂点を極めた。1-1で迎えた後半9分にFWリオネル・メッシ(23)が勝ち越しゴールを決め、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。今大会通算12ゴールで最多タイ、3季連続得点王は史上3人目の最長タイと記録をつくった。バルセロナは3年ぶりに日本で開催される12月のクラブW杯に、欧州代表として出場する。

 同カードだった09年決勝に続き、試合を決めたのはメッシだった。同点の後半9分、MFイニエスタからパスを受けて中央に持ち込み、相手DFエブラに寄せられる前に左足を振り抜くと、ボールはGKファンデルサルの手をかすめ、ゴールネットを揺らした。わずかに空いたシュートコースをピンポイントで撃ち抜いた。

 ゴールを確認すると、雄たけびを上げて走りだした。ピッチサイドの集音マイクを蹴り上げるという普段は見せない荒っぽさを出すほど興奮し、この一戦にかける意気込みを表した。「自分たちのスタイルの正しさを証明したし、相手を上回った。まだ自分たちが達成したものの実感はないけど、これからも多くのものを勝ち取っていきたい。このチームは勝者のチーム。誰もがそのことを知っている」と胸を張った。

 今季通算12ゴールは、02-03年シーズンのファンニステルロイ(マンチェスターU)に並ぶCL最多タイ記録。3季連続得点王は前身の欧州チャンピオンズ杯を含め、ゲルト・ミュラー(Bミュンヘン)、ジャンピエール・パパン(マルセイユ)に並ぶ最長タイと、伝説的選手に肩を並べた。

 グアルディオラ監督はメッシを「今まで見た中で最高の選手だ。たぶん、これからもそうだろう」と評した。司令塔のMFシャビも「勝負を左右する力を持っている、世界最高の選手」と絶賛した。後半24分のFWビリャのダメ押し点も、メッシのドリブル突破から生まれた。パスをつないでボールを保持しながら攻めるバルセロナのプレースタイルに、ドリブルでの突破力と決定力でアクセントをつけるのがメッシだ。そのどちらを欠いても最強チームは成り立たない。

 昨季は準決勝で現Rマドリードのモウリーニョ監督率いるインテルミラノに敗れた。ゴール前を固める相手を攻めきれずに敗れ、攻撃的なスタイルを真っ向から否定された。守備を崩せなかったメッシは責任を感じていた。13日に本拠地カンプノウで開かれた今季スペインリーグ優勝の祝勝会では、各選手が喜びを語る中「僕の言葉は29日(のCL優勝祝賀会)まで取っておくよ。29日に僕は話そう」とCLの覇権奪回まで喜びを封印した。ようやく心から喜べる瞬間が訪れた。

 12月のクラブW杯出場権をつかんだ。メッシはUAE開催の09年大会では2ゴールを挙げて優勝に貢献した。だが、日本開催だった06年大会は直前の骨折でメンバー入りを逃し、チームも決勝でインテルナシオナル(ブラジル)に敗退する悔しさを味わった。クラブの公式戦では初の日本上陸。本気のメッシが世界の頂点を狙う。