日本代表のエースMF本田圭佑(27=CSKAモスクワ)が来年1月にセリエAの名門ACミラン入りすることが11日、決まった。背番号は「10」。なお、契約年数は3年半になる模様。同クラブの公式サイトでアドリアノ・ガリアーニ副会長(69)が認めた。本田は10日(日本時間11日早朝)の欧州チャンピオンズリーグ(CL)プルゼニ戦でCSKAでの4年間の生活に別れを告げた。節目を待っていたミラン側は「救世主」の獲得をついに公にした。注目のデビュー戦は1月6日ホーム、サンシーロでのアタランタ戦になる可能性がある。

 本田が、あの赤と黒の伝統のユニホームを身にまとう。欧州CL優勝7回、セリエA優勝18回。日本の押しも押されもせぬエースは欧州の名門中の名門、ACミランの一員となる。4年間在籍したCSKAモスクワとの契約は12月末で切れるため、移籍金のかからないこの冬のビッグクラブ移籍が確実視され、新天地が注目されてきた。

 そんな中、本田は欧州CLプルゼニ戦(10日、チェコ)でCSKAでのラストマッチを終えた。まるでこのタイミングを見計らっていたかのように、この夏の獲得に乗り出したミランの強化を取り仕切るガリアーニ副会長が、公式サイト上で「獲得」を高らかに宣言した。

 同サイト上に現地時間11日午後1時14分(日本時間同9時14分)にアップされた記事のタイトルは「本田は我々ミランの一員になる」-。記事中の同副会長のコメントは喜びに満ちていた。

 「これまで秘密にしてきたが、今日やっと言える。本田は1月3日からミランの選手になる。背番号は10番だ。1月6日の試合(アタランタ戦)に出られるかどうか分からない。彼はEU圏外の選手なので手続きがいろいろある。その次のサッスオロ(同12日)になるかもしれない。既に本田との契約は、(リーグに)登録してある」

 開幕から低迷し、シーズン折り返しを前に9位と苦しむ名門の「救世主」としての加入となる。期待のほどは背番号が物語る。本田もこだわりを持つ「10」。チームの主役であり、司令塔の象徴でもある10番を背負う。過去にフリット、サビチェビッチ、ボバン、ルイコスタ、セードルフと超大物が背負ってきた由緒ある特別な番号だ。

 本田とミランの縁は深い。ミランは今夏の移籍期間にも正式オファーを出した。7月にはミランからの使者がモスクワ入り。移籍金を含む交渉がスタート。長期化したものの、8月には移籍金の上積みもあり、日刊スポーツの取材に対し本田が「個人条件もあと少し。もう、まとまるところまできている」と発言するなど、成立寸前だった。最終的にCSKAがミランの交渉のやり方が非礼だったと態度を硬化させ、移籍を容認せず成立寸前で破談となったが、その後も本田を追い続けた。契約期間が残り半年を切って以降は、所属クラブの許可なしで交渉できる。水面下で交渉を続け、ミランが獲得を公式サイトで宣言するに至ったようだ。

 早ければ1月6日アタランタ戦でのデビューを飾るミランでも、日本代表と同じトップ下で起用される見込み。バロテリ、カカら世界屈指のアタッカーを操り、共闘することになる。規定によりミランが決勝トーナメントに進出した場合でも欧州CLには出場できない。それでもセリエAの名門でプレッシャーを背負い、自らが望んだハイレベルな環境でプレーし、さらなる成長を望むことができそうだ。公言する「W杯優勝」のためのビッグクラブ移籍。W杯ブラジル大会を控える日本にとっても、これ以上ない朗報だ。

 ◆ACミラン

 1899年創設の欧州を代表するビッグクラブ。セリエAではユベントスの29回に次ぐ、18回の優勝を誇る。63年にイタリア勢として初めて欧州CLを制覇。Rマドリードに次ぐ歴代2位の7回の優勝を果たしている。サッキやカペロといった名将の下、最強軍団を築いていった。98年には現日本代表のザッケローニ監督も就任、リーグ戦優勝を果たしている。経済誌フォーブスによると資産価値は9億4500万ドル(約945億円)でセリエAトップ。ただ近年は資金難からスウェーデン代表FWイブラヒモビッチら主力を次々に放出。低迷期に入っている。