◆20日の注目競技

 男子5000メートル予選

 ◆出場日本人選手

 上野裕一郎(エスビー食品)

 トラック長距離の面白さは、選手同士のかけひきにあります。5000メートルも1万メートルと同様、エチオピア、ケニア勢の争いが中心になると思いますが、彼らが順位を意識してペースを抑えれば、スローな展開にもなりますし、飛び出す選手が出れば一気にハイペースなレースになります。どの選手も自動的に予選通過が決まる上位5着以内を目指すので、どんな展開になるしろレース終盤にはペースの上げ下げなど激しいかけひきが行われ、ラストのスプリント勝負になるはず。大きな大会になればなるほど、こういったいろいろな展開に対応できる力があるかないかが、上位に進出するためのカギになるんです。

 上野は、スピードが持ち味で、決まったレース展開を持たない、型にはまっていない選手です。どんなペースになっても、自分のスプリント力を信じて先頭集団についていき、仕掛けどころを見極めて勝負をかけてほしい。世界陸上初出場ではありますが多くのレース経験を積んでいますし、彼にはそれを実行する力があります。大きな大会のほうが燃える選手なので、入れ込み過ぎずモチベーションがプラスに働けば、自己記録を更新して予選を突破してくれるはずです。

 女子5000メートルでは、中村友梨香、小林祐梨子の2選手が予選を突破しました。2人とも着順では上位5位までに入れませんでしたが、タイムで決勝へ進みました。順位がポイントとなる予選でも、2人のようにしっかり先頭集団につき、終盤に勝負できるようなレースができれば、自然と記録もついてきます(中村は自己記録更新、小林はシーズンベストタイム)。上野にもぜひそんなレースをして、大会最終日の決勝の舞台で走ってもらいたいと思います。(TBS世界陸上長距離解説・高岡寿成)

 ■TBS

 20日の放送予定23:30~28:40

 今日の見所、男子5000メートル予選、女子走高跳決勝、女子200メートル準決勝、男子200メートル決勝、男子110メートルハードル決勝ほか