粘りの入賞!! 男子は3年連続3度目の出場となる加藤学園が2時間5分9秒をマークし、目標だった8位入賞をもぎ取った。来春、神奈川大に進学する4区の荻野太成(3年)が区間4位タイムで、9人抜きの快走をみせて勢いづけると、7区の渡辺大地(1年)も競技場に入ってから猛烈なラストパートで2人をかわすなど、大健闘のレースをみせた。また女子は2年ぶり5度目の出場となった常葉学園菊川が、1時間12分43秒で44位となった。

 冷静だった。競技場に入り、ラスト200メートル。大歓声を受けた加藤学園のルーキー渡辺は前にいた八千代松陰(千葉)、大牟田(福岡)の走りを冷静に確認した。残り100メートルで「いける」と確信すると、猛スパートで並び抜いた。8位でゴールイン。初入賞を手にした。

 以前に同校で初めて1年ながら5000メートルを14分台(14分49秒02)で走った渡辺は「順位はよく分からなかった。とにかく1つでも上を目指しました。ラスト勝負には自信がありました」。この日の青空のようにさわやかな表情を浮かべた。

 渡辺の快走を呼び込んだのはエース荻野だった。志願した下りの多い4区で力走。前半で前方集団をとらえると、後半に入ってもスピードは衰えず、22位から13位まで順位を押し上げた。「チームの流れを変える走りができました」。満足そうな笑顔を見せた。

 チームの5000メートル平均タイムは出場校中22位だった。入賞は展開次第。過去2年、荻野は強豪ぞろいの大舞台に「名前負けしているところがあった」と振り返る。ところが今夏の全国総体3000メートル障害2位などの実績を残し「経験を積んで名前負けしなくなった」と自信を深めて臨んだ。

 集大成の都大路は「笑顔でたすきをつなぐことができました」と納得顔だ。来春から神奈川大で箱根駅伝を目指す荻野の走りが、チームの粘りにつながった。県最高順位(93年浜松商2位)には届かないものの、大健闘の入賞だ。勝亦祐一監督(45)も「ラストスパートには期待していました。想定通り。すごかったです」と興奮気味だった。

 2年前の初出場から32位、25位、8位と加藤学園は着実に順位を上げてきた。1年の渡辺に加え、小野寺悠、大里凌央(ともに2年)の実力者も残る。全国の強豪へ-。加藤学園は躍進を続ける。【鈴木正章】