日本陸連の麻場強化委員長は、野球やサッカーでいえば監督だ。監督が「リオに集中してほしい」といっているのに、なぜ福士側は強行出場を目指すのか?

 代表決定のプロセスは、強化委員会が素案を作り、理事会にはかって正式決定する。現場の長である強化委員長(監督)が決めたオーダーは何よりも優先されるべきものだが、陸上界ではしばしば理事会によって、素案が別の案に差し替えられることがある。監督がいくら選手に「お前を使うから」と言っても、その監督の力が及ばないところでひっくり返されれば、選手にとっては後の祭りだ。

 麻場委員長は、永山監督に今月上旬に電話で「リオに集中してください」とお願いしている。その際、永山監督は「個人的な意見として言われても」と困惑を隠せなかった。21日の発言は同じ内容を公の場で行っただけに過ぎない。麻場委員長が福士を心配する気持ちは真摯(しんし)なものだが、100%とはいえない要望=理事会でひっくり返される可能性があるならば、福士側が強行出場に向かうのは当然だろう。【陸上担当=益田一弘】