陸上短距離のの桐生祥秀(21=東洋大)が向かい風条件時では日本最高記録となる100メートル10秒04を記録してから一夜明けた30日、松江市内で行われた全山陰陸上競技大会にゲスト参加した。100メートルで小学生と対決し、タイムは追い風2・8メートルの12秒53だった。

 序盤は流しながら、中盤で1度、急加速してフィニッシュ。約4000人から拍手を浴びた。相手に配慮して、手加減しながらも、同時に日本トップクラスのスピードも体感してもらう優しさがあった。桐生は「自分の走りを見てもらえてよかった。ワイワイした感じで楽しかったです」と笑顔を見せた。

 陸上の人気を高めたいと考えている。だから超強行軍のスケジュールでも、ファンサービスはできる限り対応する。クールダウンを終えて、会場を後にしようとしたのは午後2時30分。同4時の飛行機に乗らないといけなかった。空港までは車で45分。急がないといけなかったが、出待ちの小学生に一斉に囲まれた。それでも嫌な顔は全く見せない。当初「5分だけ」の約束だったが、結局約15分間サインや写真撮影に応じた。桐生は「陸上をやりたい子が増えればいいかな」と言う。約200人全員に対応し、並ぶ列がなくなるのを確認すると、大急ぎで車に乗り込んで空港に向かった。桐生はトラックの外でも小学生のヒーローだった。