8月のモスクワ世界陸上が迫り、代表選手たちの調整ぶりが注目される時期。国内ではトワイライト・ゲームス、海外ではダイヤモンドリーグ2大会にトップ選手が多く出場する。

 トワイライト・ゲームスの男子100メートルに山縣亮太(21=慶大)と高瀬慧(24=富士通)、女子走り高跳びには福本幸(36=甲南学園AC)と3人の世界陸上代表が出場する。

 6月の日本選手権で桐生祥秀(17=洛南高)に勝った山縣は、7月に入ってもユニバーシアードで銀メダルと好調。日本人初9秒台候補の一番手だが、今大会は陸連合宿で追い込んだ直後の出場となり、記録が出る可能性は低い。レースでの技術チェックが一番の目的だろう。その状態で10秒1前後が出るようだと、世界陸上の準決勝で良い勝負ができる。

 その点、ママさんジャンパーの福本は、高いレベルで試合を連戦して調子を上げていくタイプ。日本選手権と同じ1メートル90くらいを跳んでくるだろう。

 世界陸上代表入りを逃した選手たちの巻き返しも見どころとなる。

 男子やり投げのディーン元気(21=早大)、400メートル障害の舘野哲也(21=中大)、100メートルの九鬼巧(21=早大)は昨年のロンドン五輪代表だった(九鬼は400メートルリレーの補欠)。

 特に注目されるのがディーン。ロンドン五輪は10位と健闘したが、今季は調子を落としてライバルの村上幸史(33=スズキ浜松AC)に差を開けられている。日本選手権、ユニバーシアードと連続で78メートル台。80メートルを超えて復調の足がかりとしたい。

 ダイヤモンドリーグ・モナコ大会男子100メートルにはタイソン・ゲイ(30=米国)が出場。先月の全米選手権では9秒75の今季世界最高を出している。ウサイン・ボルト(26=ジャマイカ)がいないレースでどんなタイムを出してくるか。

 注目はロンドン五輪金メダリストのサリー・ピアソン(26=豪州)と、新鋭のブリアナ・ロリンズ(21=米国)が対決する女子100メートル障害。ロリンズが全米選手権で12秒26の世界歴代3位をマークし、記録的にはピアソンを0・02秒上回った。直接対決でどんなハードリングを見せるか。

 高校生日本一を決める全国高校総体の2日目には男女の100メートルが行われ、桐生と土井杏南(17=埼玉栄高)が出場する。

 桐生は100メートルの他にも200メートルと400メートルリレー、場合によっては1600メートルリレーも走るハードスケジュールだ。記録を望むのは難いが高校生にとって最大の目標とする大会で、集中力が高まって記録が出るケースもある。9秒台が出ないとは言い切れない。

 ロンドン五輪に陸上競技戦後最年少選手として出場した土井は今季、2月に腰を痛めた影響で出遅れている。ライバルの神保祐希(金沢二水高3年)が11秒61で走り、シーズンベストでは土井を0・05秒上回っている。

 土井の自己記録は高校記録の11秒43。最低でも11秒5台まで力を戻さないと優勝は難しい。【7月後半の主な陸上競技大会】7月19日:ダイヤモンドリーグ・モナコ大会7月26~27日:ダイヤモンドリーグ・ロンドン大会7月28日:トワイライト・ゲームス(東京・代々木)7月30日~8月3日:全国高校総体(大分)