<全日本大学駅伝>◇7日◇熱田神宮-伊勢神宮(8区間106・8キロ)

 早大が大会新記録の5時間13分2秒で15年ぶり5度目の優勝を果たした。1区9位と出遅れたが、エース区間の2区でスーパールーキーの大迫傑(すぐる)、6区では一般入試組で3大駅伝初出場の猪俣英希(4年)が好走するなど、チームの底力を発揮した。渡辺康幸監督(37)の大学4年時以来の優勝で、10月の出雲駅伝に続いて2冠目。来年1月の箱根駅伝で史上3校目となる同一年度での3冠を目指す。

 「佑ちゃんパワー」が早大に乗り移った。渡辺監督は3日夜、1人の学生から電話を受けた。「次は駅伝の番ですね」。声の主は6大学野球秋季リーグを制し、日本ハムからドラフト1位指名された早大の斎藤佑樹投手。そのエールに見事に応え、渡辺監督が大学4年時にアンカーとして逆転優勝した95年以来のタイトルを獲得した。

 斎藤とは昨年12月に知り合った。駅伝好きの斎藤が渡辺監督との対面を希望。OBの竹沢健介(現エスビー食品)の紹介もあり、渡辺監督が自宅に招いた。「斎藤君は『プレッシャーもあって好きなことができない』という話をしていた。でもオーラはありました」。長男康介ちゃんとのツーショットを携帯電話で撮影するなど和やかな時間を送りながらも、斎藤の存在感の大きさを感じた。

 佑ちゃん効果もあり?

 同じ名前の7区の前田悠貴が区間2位の好走。ニックネームこそ「ゆうちゃん」ではなくAKB48の前田敦子から取った「あっちゃん」だが、本家同様に優勝に貢献した。3冠に王手をかけたが、渡辺監督は出雲駅伝に続き、この日も胴上げはなし。「箱根のために減量してますから」。最大時83キロの体重を現在の71キロから目標の60キロ台に落とし、神宮の杜(もり)に軽々と舞った斎藤のように、大手町のビル群の空に舞う。