<高校総体:自転車>◇11日◇秋田・美郷町

 自転車チーム・スプリントで岡山工(岡山)が決勝で、前日の予選でマークした大会新記録を0秒578更新する1分4秒455で初優勝した。

 3人1組で行う競技は1周ごとに選手が離脱し、3人目の選手がゴールしたタイムで競う。1人目の松岡洋平(3年)が走り終えた時点で岐阜一(岐阜)に0秒2のリードを許したが、川口敬二監督(52)はその時点で「勝ったな」と思った。

 チームワークの勝利だった。スタートが得意な松岡だが、苦手な第3走者多田晃紀(3年)のために「絶対失敗しないように」滑らかなスタートを心掛けた。スピードも持久力も兼ね備えた世界ジュニア代表の第2走者奥村諭志(3年)は「(アンカーの)多田が逃げやすいように」と、そのまま引っ張った。ラストの爆発力に自信を持つ多田は仲間のアシストを受け「出せる自信があった」大会新で走り抜けた。

 3人とも高校から自転車を始め、週末の玉野競輪場、平日の70~80キロのロード練習で力をつけた。卒業後は松岡が就職、奥村が進学、多田が競輪学校への入学を希望している。タイプも進路も違うが3年間同じ目標へ努力した絆は強く、優勝が決まると、がっちり肩を組んだ。【松屋圭祐】