【アスタナ(カザフスタン)8月31日=阿部健吾】強者の系譜を継ぐ。柔道の世界選手権金メダリストの日本代表男女6選手が、閉幕から一夜明けて会見を行った。男子100キロ級で初出場初制覇した羽賀龍之介(24=旭化成)は前夜の祝杯が深夜に及んだようで少しぐったりした様子だったが、ある数字を聞いた瞬間に「やってやりますよ! 良いモチベーションです」と表情が生き生きとした。

 話題は、五輪前年の世界選手権で初優勝した日本人の五輪での成績について。男女22人が該当するが、金メダリストはわずか4人。新星が徹底マークされて本番で苦戦することを物語る厳しい数字だが、羽賀はむしろ高揚した。理由はその4人。川口孝夫、上村春樹、斉藤仁、そして師である日本代表の井上康生監督。高校、大学、得意技の内股が同じという境遇から「後継者」と呼ばれる男には、最高のカンフル剤だった。

 大会では左内股で次々に海外勢を投げ飛ばした。かつての日本のエース階級に登場した正統派に期待も高いが、「リオで勝った選手が強い選手、それを理解して戦っていきたい」。偉大な先人に続く「第5の男」となるため、寸暇を惜しんで励む。