2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムを白紙撤回した大会組織委員会が、撤回前の8月28日に佐野研二郎氏のデザイン盗用を否定した記者説明会で、英国在住の日本人女性の個人ブログ画像など3点を無断で使用していたことが11日、分かった。組織委は事実関係を認めてこの女性に謝罪した。

 組織委は同日夜に緊急記者説明会を開き、使用料を支払うことでこの女性が事後承諾したことを明らかにした。ほかの2点については、元の画像の所有者と連絡がついていないという。

 組織委は28日の説明会で、大会エンブレムが会場の装飾などさまざまな場面で使用されていることを説明した。無断使用した画像の一つは、12年ロンドン五輪の例を写真4枚の組み合わせで紹介したうちの1枚で、日本人女性が新体操会場を訪れた時に撮影した。ブログには「写真の無断複写・転載を禁じます」とのただし書きがあった。組織委によると、この画像はマーケティング局がインターネットの画像検索で入手した。

 同じ説明会では、佐野氏がネット上の他人のサイトから無断使用した別の画像を、組織委がエンブレムの活用例として紹介。佐野氏は事実関係を認め、白紙撤回につながった。今回の問題で組織委の姿勢も問われそうだ。

 この女性は共同通信の取材に対し「あれだけ世間を騒がせている盗用問題の記者会見で、釈明に使われた写真が無断使用というのが信じられない」と答えた。