男子60キロ級で2年ぶりの復活優勝を果たした高藤直寿(22=東海大)は「今年世界選手権に出られずに悔しい思いをしたので、勝ててよかった」と笑顔を見せた。

 連覇を狙った13年世界選手権の準決勝で敗れ「流れが悪くなった」。同大会中の規律違反で強化指定選手を降格。「五輪は無理かも、というより自分に五輪を狙う資格があるのかと何度も思った」。精神的な迷走は柔道にも影響し、今年の世界選手権は代表にさえなれなかった。

 支えは、全日本男子の井上康生監督(37)だった。「見捨てられても仕方がないのに、一緒に頑張ろうといってくれた」。その言葉に奮起して5月のマスターズ、10月のグランドスラム・パリ大会に優勝し、この大会も圧勝した。「来年は五輪の金メダルという夢をかなえる1年にしたい。井上監督に、第1号の金メダルをプレゼントしたい」と話していた。