女王奪回を目指すエース高梨沙羅(19=クラレ)が、「吉兆V」を果たした。1回目に95・5メートルで首位に立つと、2回目も97・5メートルを飛び、合計251・7点で優勝。通算31勝目を挙げた。昨季は初戦3位とつまずき、個人総合Vを逃したが、開幕戦を制した過去2度のシーズンは総合Vを果たしており、最高のスタートを切った。伊藤有希(土屋ホーム)は10位、勢藤優花(北海道メディカルスポーツ専門学校)は16位、岩渕香里(松本大)は20位だった。

 高梨にはやっぱり真ん中がよく似合う。悪天候で直前の公式練習がキャンセルになるなど難しい条件だったが、1回目に95・5メートルでトップに立ち、迎えた2回目には97・5メートルと飛距離を伸ばし、着地も決めると両手でガッツポーズ。昨季から続く連勝を「5」に伸ばし、初戦から独り舞台を演じた。「満足している。自分のやることに集中した」と笑顔を見せた。

 昨季の開幕戦は3位。シーズンの流れを作れず3連覇を目指した個人総合を逃したが、今季はしっかり勝ったことで「吉兆」を呼び込んだ。過去4季あったシーズンで開幕戦を制した12~13、13~14年シーズンはいずれも女王の座についている。初戦でペースをつかむことでリズムを作り、勢いに乗る。先行逃げ切りの勝ちパターンが出来上がっている。

 準備は万全だった。昨季は冬仕様の助走路で練習し始めたのは海外遠征後からだったが、今季はそれよりも約1カ月早く国内で練習できたことで直前の欧州合宿でさらに精度を上げられた。前日の練習では「まだジャンプの確率が低い」と自身のジャッジは厳しかったとはいえ、態勢はしっかり整えてきていた。スタートダッシュを決めた沙羅ちゃんが、初戦から一気に加速していく。