スポーツ庁は21日、2020年東京五輪・パラリンピックに向けて国内の反ドーピング態勢の強化を協議する特別チームの初会合を開き、法制化に向けた検討を始めた。ロシア陸上界の組織的なドーピング問題などを踏まえたもので、6月までに中間報告を取りまとめ、9月の最終報告を目指す。

 11年に施行されたスポーツ基本法はドーピング防止活動の推進を定めているが、国内にドーピング規制に特化した法律はない。国際的にはドーピング違反の手口は巧妙化しており、国際オリンピック委員会(IOC)は取り締まり強化のため、近年、五輪開催都市に対して国内法の整備を提唱している。

 スポーツ庁によると、イタリアやドイツ、ベルギーには反ドーピングの法律があり、違反者に刑事罰を科している。米国や英国にはそうした法律はない。

 法制化に当たり、どのレベルの競技者を対象とするかや、刑事罰を設けるかどうかなど検討すべき課題は多い。座長の冨岡勉文部科学副大臣は「現行の取り決めなどで五輪を迎えることがいいのか、新たな法案を提案するのがいいのか、そういう議論から始める」と語った。