ラグビー日本選手権が、今日31日に東京・秩父宮ラグビー場で行われる。19季ぶりにトップリーグ(TL)王者と大学王者の一発勝負。大学選手権7連覇を達成した帝京大は30日、都内のグラウンドでパナソニック戦に向けた前日練習を行った。両チームともスクラムは、両軍OBで元日本代表の相馬朋和コーチ(38)から指導を受けるという異例の決戦。「相馬スクラムVS相馬スクラム」の勝敗が試合のカギとなる。

 坂手は強気な姿勢を貫いた。「自分たちは教わってきたことを信じてやり抜くだけ。ワクワクしています」。大学レベルでは圧倒してきたスクラムは、OBの相馬コーチから伝授された。同コーチはパナソニックのスクラムコーチが本業。群馬・太田市から東京・日野市まで、混雑時には車で片道約4時間かけて尽力してくれた感謝がある。TL王者は同じ基本方針のスクラムに変化をつけて揺さぶってくるかもしれない。「強いのは分かっているが、組む8人が違えば一緒ではない。組んで分かる対応策も教わってきた。ゲームのキーとなることは間違いない。結果が恩返しになる」と言い切った。

 「相馬スクラム」は崩れない姿勢を最重要視している。低ければいいわけではない。1人1人が安定する形は違う。それを覚えさせたうえで、8人のパック全員を1つにする。すべてが合致する立ち位置や腕を回す位置まで見極める。坂手の代役として先発するフッカー堀越も「センターラインが軸。自分に代わっても力比べができる」。28日には相馬コーチが訪れ、一緒に最終チェックを完了した。

 岩出監督もパナソニック対策はさせていない。選手にもパナソニックのことは聞かせない。帝京大の力を最大限に生かせるスクラムを組むだけ。坂手は「胸を借りるという言葉は好きではない。つぶすつもりで真っ向勝負します」。88年早大以来となる大学勢の頂点奪取を集大成にするつもりだ。【鎌田直秀】