男子400メートル個人メドレー決勝では、萩野公介(21=東洋大)が昨年の世界選手権銀メダルに相当する4分9秒06で優勝した。この時期では異例の好タイムで、3週前の東京都選手権に続き、世界選手権連覇の瀬戸大也(21)に連勝した。

 底知れぬ強さが戻った。昨年の世界選手権銀メダル相当のタイムを出した400メートル個人メドレーを終えた27分後の200メートル自由形。萩野は150メートルまで自身の日本記録を0秒18上回る。さすがに最後50メートルで失速も「久しぶりの感覚だった」と復調に好感触をつかんだ。

 五輪金メダルを狙う本命の400メートル個人メドレーでも、ライバル瀬戸に連勝した。「勝てたことは大きいこと。五輪では最大のライバルになることは間違いない」。昨夏世界選手権金メダル瀬戸のタイムに0秒56迫るタイムを、調整段階のこの時期に出した意義は大きかった。

 3週前の東京都選手権。萩野は優勝したものの、本調子でなかった瀬戸に肉薄された。大会後は平井コーチから叱責(しっせき)された。東洋大の田垣コーチから「どんな状況でも力を出せ」と、ジャンプ女子の高梨の新聞記事を見せられた。転戦で異なる助走路の形状に短期間で合わせて勝ち続ける19歳に「プロですよね。ずっと勝つことは大変」と、どんな状況でも勝つことを学んだ。

 この時期での好タイムは、ロンドン五輪金メダルのロクテ(米国)ら海外のライバルにも、大きなアピールになる。「今までのレースは実力6、調子4だったが、(先輩の寺川)綾さんのように実力8、調子2に近づいてきた。実力が上がって、調子による左右がなくなってきた」。悪夢の右肘骨折から約8カ月。五輪金メダル候補が本領を発揮し始めた。【田口潤】