世界6位の錦織圭(26=日清食品)が70年現行ツアー制度になって以来、大会3人目の3連覇に王手をかけた。同22位のペア(フランス)に6-3、6-2でストレート勝ち。昨年全米1回戦、楽天オープン準決勝と2連敗を喫した“天敵”に雪辱し、今大会の連勝を14に伸ばした。決勝では、同5位のラファエル・ナダル(スペイン)と同27位のフィリップ・コールシュライバー(ドイツ)の勝者と対戦する。

 これが本当の錦織だ! 昨年手痛い2敗を喫した相手に対し、得意のストロークで王道のプレーを展開。第1セットはブレークポイントさえ握らせないプレーで「気持ちよくプレーできた。いい感じで戦えた」と雪辱した。

 最後まで冷静だった。勝ちを意識した焦りもなく、強打をたたき込まれても受け身にならず。攻守の切り替えをしっかり見極め、徹底的に自分のプレーに専念した。「リターンが攻撃的にいけた」。その世界最高のリターン力で、ペアのサーブを粉砕した。

 14年に準優勝している全米で、昨年は1回戦負け。ラケットを握る気力さえ起きなかった。フロリダにある自宅に閉じこもり、テニスを見る気さえ起きなかったという。その日から約8カ月をかけて立ち直り、3連覇に王手だ。

 この大会は、錦織が初優勝した14年まで地元スペイン勢が11連覇。その赤土王国に風穴をあけたのが錦織だった。そして昨年は2連覇を達成し、赤土最高峰の全仏では優勝候補の1人に数えられるまでになった。

 70年以降、大会3連覇を果たしたのはビランデル(スウェーデン)とナダルの2人だけ。ともに5月22日開幕の全仏で優勝経験がある。今大会で3連覇の歴史に名を刻むことで、全仏制覇へ弾みをつける。