関東拠点の「アンダー59ers(U-59)」が関西で活動する「オーバー40レジェンダーズ(O-40)」を下し、3年連続のシニア(40歳以上)日本一となった。

 悪質タックル問題により、定期戦の当面の中止が発表されている日大、関学大のOBも両チームに在籍。フットボール界の元スター選手たちが、変わらぬ友情を誓った。

 U-59は最終第4クオーター、日大と社会人のレナウンでともに名QBとして活躍した松岡秀樹さん(55)、鈴木隆之さん(59)がそろってフィールドに立った。

 松岡さんは「1月に腰を痛めて、だましだまし。鈴木さんとは30年ぶりぐらいの(QBが2人並ぶ)ドラゴンフライでしたわ」と白いひげを触りながら笑った。週1回の練習だけでなく、週2回のジム通いも欠かさないという松岡さん。関学大の話題になると「チームメートにも、相手にも(関学大OBが)いる。僕らの代は本当に仲がいい。(84年の甲子園ボウルで42-42の)同点やったのもあって、関学の同期とは毎年ゴルフをするよ」とうなずいた。

 対するO-40では、関学大の名WR堀古英司さん(52)がプレー。米ニューヨーク在住のファンドマネジャーとして知られ、今回も2日前の15日に来日して参戦した。フットボールの本場である米国でも、悪質タックル問題は報じられており「残念ですけれど、(フットボール界として)やり直すしかない」と未来に目を向けた。

 堀古さんにとっても、長年のライバルである日大は特別な存在だという。「日大は一番尊敬している存在。伝統の対決ですし(将来的に定期戦も)復活してくれたら」というのが正直な思いだ。社会問題化した一件があっても、長年築き上げてきた横のつながりや、尊敬は変わらない。

 堀古さんは以前からフェイスブックを用い、さまざまなアメフト関係者が意見を寄せ合い、発展していくための仕組み作りを手がけてきた。だからこそ、人ごととは捉えていない。堀古さんだけでなく、ルール上はあり得ない「悪質タックル」によって植え付けられてしまったイメージを、変えていく意志を持つ関係者は多い。

 スピード感こそ少し欠けるものの、この日は40歳を超えても競技を愛する面々が、好プレーには拍手、イメージ通りにいかない落球には「下手くそ~」などと、声を掛けながら真剣勝負を楽しんだ。

 シニアは安全を最優先に腰から下のブロック禁止、早めのホイッスルなど、独自のルールが設けられている。それでもルールの範囲内では激しいタックルがあり、試合を終えるとジュース片手に談笑し、水浴びをしながら互いの健闘をたたえ合った。そこには過去の所属、実績など関係ない。アメフトのあるべき姿を、全ての“おじさんフットボーラー”が体現した。【松本航】