ノルディックスキー・ジャンプ女子でピョンチャン・オリンピック(平昌五輪)代表の伊藤有希(24)、弟の将充(20=ともに土屋ホーム)が15日、欧州遠征に成田空港から出発した。

22年北京五輪に向けた新たなシーズンのスタート。欧州入り後はフィンランド・ロバニエミで直前合宿を行った後、30日に開幕するワールドカップ(W杯)初戦が行われるノルウェー・リレハンメルに乗り込む。

「秋から(国内での直前合宿を行った)蔵王は良い感触ではなかったが、雪上で雪を見れば気持ちが引き締まる。気持ちを切り替えて、シーズンに向けて良いイメージを作っていきたい」と気合を入れた。

金メダルを目指した2月の平昌五輪では9位にとどまり、悔しさを味わった。今シーズンは「チャレンジできるシーズン」と位置づけ、春から道具を見直し、技術の改善に努めた。スキー板のメーカーを変更したのもその1つ。4年後の大舞台で雪辱に向け、今から1つ1つ積み上げていく。

「(新しいスキー板は)空中の感覚が良かった。より浮力をつかめる感じ」と話した。技術面でも助走路(アプローチ)の姿勢を低くした。「昨季もアプローチが高めだったが、ビデオで見た感覚と一致しなかった。今季は映像と感覚を一致させる作業を行って体が覚えた感じ」と手ごたえをつかんでいる。

故郷の北海道は、9月上旬に発生した北海道胆振東部地震で大きな被害を受けた。すぐにチームの監督も務める葛西紀明(46)らとともに被災地を訪問し、物資を届けた。

「段ボールをベッドにして寝ている人たちやプライベートもない中で生活している人たちがたくさんいた。少しでも笑顔になってくれて良かった。競技をやれている感謝をより感じた」と振り返り、自身のジャンプで少しでも勇気を届けるつもりだ。

弟の将充は、平昌五輪を逃し、一からスタートする。夏場に結果を残せず、W杯前半戦代表からは漏れたが、4年間で世界と戦えるジャンプを作り上げていく。「北京五輪に向けて時間はある。落ち着いて自分のペースでやっていきたい」と焦らず、自分と向き合っていく。