<卓球:全日本選手権>◇最終日◇22日◇東京体育館◇男子シングルス決勝

 絶対王者が泣き崩れた。前人未到の6連覇に挑んだ水谷隼(22=明大)はタオルもラケットも、力ない手から落として、うなだれ続けた。「自分が何をしていいか分からない状態になってしまって、最初から最後まで何もできなかった。今は何も考えられない」と激しく落ち込んだ。

 準決勝までは完璧な試合運びだった。だが、決勝では、新進気鋭18歳の挑戦者の気迫に押され、2ゲームを先取されるなど後手に回った。何とか追いつき、一度は先にマッチポイントを握ったが、そこから5連続失点で逆転負けした。「精神面がもろかった。今日のことを一生忘れず、励みに一から頑張っていきたい」と、懸命に言葉をしぼり出すのがやっとだった。