日本スケート連盟は12日、都内で会見し、10年バンクーバー五輪のフィギュアスケート、スピードスケート、ショートトラックの3種目の選手選考基準を発表した。フィギュアは、グランプリ(GP)ファイナル3位以内の日本人最上位や全日本選手権優勝者が内定するという基準を設定。一方、浅田真央(18=中京大)高橋大輔(23=関大大学院)ら有力選手に万が一のケガがあった場合も、救済できるような「保険」をかけた。

 浅田らがバンクーバーのリンクに立つための道筋が、明確になった。12月3~6日のGPファイナルで表彰台に上がり、日本人トップなら即内定。12月25日から3日間の全日本選手権を制すれば、これも代表に決まる。男女シングルの代表枠は各3。残る枠は(1)全日本選手権3位以内(2)GPファイナル出場者(3)全日本終了時の世界ランク日本人上位3人、が選考対象になり、総合的に判断される。

 さらに、救済措置とも読める文言が続く。「なお、過去に世界選手権6位以内に入賞した実績のある選手が、シーズン前半にケガ等で選考対象に含まれなかった場合は、五輪時の状態を見通しつつ、選考の対象に加えることがある」。極論すれば、浅田らがケガなどで五輪まで1度も試合に出られなくても、本番で活躍できる見込みがあれば、選出される可能性が残された。

 会見した吉岡伸彦フィギュア強化部長は「全日本で3人選ぶとすると、ケガやたまたま調子が落ちていたスケーターがメダル候補だった時、その選手を切るのは忍びない。そのなかで、どういう形がいいか、という時、この形になる」と説明した。

 もっとも、浅田、高橋らメダル候補が、順当に成績を残して、代表権を勝ち取ることが、理想の流れになる。最速なら、東京で開催されるGPファイナル(12月3~6日)で、内定1号が出る。06年トリノ五輪の荒川静香に続く金メダル獲得へ向け、まずは3枠をめぐる争いが本格化する。【佐々木一郎】