<女子テニス:東レ・パンパシフィック・オープン>◇第2日◇23日◇東京・有明テニスの森公園◇シングルス1回戦ほか

 日本のエースに返り咲いた世界60位のクルム伊達公子(42=エステティックTBC)が、3年ぶりに初戦を突破した。同145位で予選勝者のロディオノワ(30)との対戦で、6-2、4-1とリードしたところで相手が棄権した。森田あゆみ(23)、土居美咲(22)も1回戦を勝ったが、予選を勝ち上がった尾崎里紗(19)は敗れた。

 クルム伊達に、軽快な動きが戻った。細やかなフットワークに、さく裂するライジング打法。格下を圧倒し、棄権に追い込んだ。「1年に1回しかない東京の大会で勝てたのがうれしい」。3年前に、初戦でシャラポワを破った時以来の勝利に、笑顔がはじけた。

 滑り出しから一気に3ゲームを連取。最後まで、1度もリードを許さなかった。東レは95年に日本人としてただ1人の優勝を遂げた思い出深い大会。今年、区切りの30回大会を迎え「記念大会で勝ちたかった」と存在感を見せつけた。

 全米で再発した古傷の右足アキレスけんの痛みが回復したのが大きい。「元気に何の不安もなくコートを走れる。それができれば結果がついてくる」。5日後に43歳の誕生日を迎えるとは思えない肉体とプレーで、ひとまわり年下の相手を粉砕した。

 この日、森田を抜いて世界ランクで日本NO・1に返り咲いた。会場は20年東京五輪の舞台だけに、7年後まで驚異の現役続行も期待される。さすがに「50歳(近い)ですよ、どんなに思っても無理でしょう。可能性は1%もない」と苦笑い。しかし、「それに関わるサポートはしたい」と、自らが創設する小学生の全国大会から、五輪選手誕生を夢見た。【吉松忠弘】