<テニス:ウィンブルドン選手権>◇第2日◇24日◇ロンドン郊外オールイングランド・クラブ

 世界12位の錦織圭(24=日清食品)が、戦後史上2人目のベスト8に向け、ストレートの快勝発進だ。身長203センチで時速約215キロの爆弾サーブを持つ同73位のケニー・デシャプール(27)を6-4、7-6、7-5のストレートで下し、3年連続の初戦突破。次戦では136位のクドラ(米国)と対戦する。

 過去の対戦がなく情報も少ない。左利きでやりにくさ満点の巨漢相手に、錦織が貫禄のストレート勝ちだ。それでも、一発勝負合戦で、リズムをつかむ好きなラリーが少なく、3セットにも「本当につまんない試合だなと思った」と、余裕からの不満がこぼれた。

 相手は身長203センチに体重102キロ。時速210キロ超えのサーブを連発する、まさにフランスの“弁慶”だ。「第2サーブでも200キロ以上は出ていた」と、錦織もあきれ顔。しかし、身長で25センチ、体重で28キロも小さい錦織は、牛若丸よろしく芝の上を舞い、的確に相手の急所を刺した。サービスエース20本を食らいながら、1時間49分の快勝だ。

 危なかったのは、第2セットのタイブレークだけ。一気に0-3とリードされた。「ヒヤッとした」。しかし、続くデシャプールのサーブ。第1サーブで、足がラインを踏むフットフォールト。動揺したデシャプールはダブルフォールトで崩れた。「気持ちを落とさずに集中できた」と、錦織の冷静さが上回った。

 大会前、約3週間、過去に例がないほど芝生での練習を積んできた。痛めていた左股関節とふくらはぎは、全仏初戦では少し痛みが残るまでに回復。しかし「練習など実戦の準備がまったく出来ていなかった」ことで、初戦で敗退した。今大会は準備万全。この日も、1度も自分のサービスゲームを失わなかった。

 目標は「少しでも上位に行きたい」と、12年全豪以来、4大大会自身2度目、大会では戦後日本男子2人目の8強入りに置く。「この大会で活躍するのが、自分のテニス人生の目標」。テニスの聖地が、必ず日本のエースにほほえむ時がやってくる。【吉松忠弘】