山椒(さんしょ)は小粒でピリリと辛い。そんな言葉が今年の仙台育英には、よく似合う。昨年までのように、ニュージーランドからの留学生はいない。スタメンに身長180センチ台の選手や、体重100キロを超える重量級のFWも見あたらない。だが3戦298得点に8失点と、圧倒的力で県13連覇。新チーム発足から県大会1カ月前まで、基本中の基本である守備のみに練習時間を割いた結果だった。

 優勝候補の一角ながら初戦敗退した昨年の反省がある。「今年は原点のラグビーで純粋にラグビーをしよう、がモットーだった。小さいから、ターンオーバーする確率も高い」と丹野博太監督(43)。低く、鋭いタックルで相手攻撃をはねのけ、一気の速攻へと転じる。県決勝で敗れた仙台工・角田淳監督(36)も「今年の育英さんはひたむきで基本に忠実」とたたえる。

 Bシードとして2回戦から出陣する花園では、秋田中央と長崎北の勝者と対戦する。日ごろから練習をともにすることが多い秋田勢か、昨年苦杯を喫した長崎勢か。いずれにせよ、因縁のある相手との激突だ。現地入りは25日。昨年は出発前に海岸でとことん走るなど、ユニークな練習を取り入れたが「そういうことは一切しない」と丹野監督。やるべきことは1つだからだ。【清水智彦】