大相撲の野球賭博事件で、賭博開帳図利の疑いで逮捕された阿武松部屋の元十両古市貞秀容疑者(34)が、元幕下山本俊作容疑者(35)が主催する野球賭博で100万円以上の負け金を抱えた後に、胴元側に転向していたことが28日、捜査関係者への取材で分かった。

 警視庁組織犯罪対策3課は、古市容疑者が負け分を取り返すために客の賭け金の一部を手数料として徴収できる胴元側に加わり、同期入門の山本容疑者とともに仲間の力士らに野球賭博を広めたとみて調べている。

 捜査関係者によると、古市容疑者は2006年春、暴力団組長の援助を受けて胴元側となっていた山本容疑者に誘われ、野球賭博を始めた。しかし、08年ごろには膨らんだ負け金の支払いに窮するようになり、山本容疑者から「客を多く集めれば稼げる」と言われ、自らも胴元側になることを決意したという。

 古市容疑者は、客の賭け金を母親の米子容疑者(63)に管理するよう依頼。インターネットのプロ野球勝敗結果の予想サイトに会員登録し、弱いチームに加点して賭博の面白みを高める「ハンディ表」を入手して、胴元として独立した。

 同部屋の力士らには「ばれることはない」と参加を呼び掛け、客側の勝ち金の1割を手数料として取得。米子容疑者の生活費などに充てていたという。

 警視庁は28日、賭博開帳図利などの疑いで古市容疑者ら4人を送検した。