<大相撲夏場所>◇14日目◇25日◇東京・両国国技館

 土俵中央であおむけになったまま、天井を見上げていた。負けた-。その結果が、全身から力を奪った。大関稀勢の里(26=鳴戸)の破竹の快進撃が止まった。横綱白鵬(28=宮城野)に止められた。

 78年名古屋場所の北の湖-輪島戦以来、35年ぶりとなった14日目での全勝対決。勝てば初優勝に大きく前進した一番は、得意の左四つの体勢になるも、すくい投げで敗れた。「負けは負けです。仕方ない」と、悔しさを押し殺した。

 優勝の可能性は、わずかだが残されている。大関琴奨菊(29=佐渡ケ嶽)に勝って、白鵬が横綱日馬富士(29=伊勢ケ浜)に敗れれば、優勝決定戦に回れる。ただ、最後の一番はそれ以外にも意味を持つ。北の湖理事長(元横綱)は名古屋場所での綱とりを明言した。その上で13勝と14勝では、重みが変わる。

 「目の前の相撲に勝つことが一番。その積み重ねだと思う。今はまだ…」。綱とりの話題は避けて、最後の一番を取り切ることだけに集中した。