<大相撲名古屋場所>◇14日目◇20日◇愛知県体育館

 白鵬の連勝を止めたのは、やはりこの男だった。大関稀勢の里(27=鳴戸)が、横綱白鵬(28=宮城野)を寄り倒した。張り手を何発も食らって、右ほおは真っ赤に腫れた。相手十分の右四つにもなった。だが、関係なかった。迷わず前に出て、一気に寄り倒した。乱舞する座布団。「力を出し切れたと思います」。連勝を43で止めて、満足感に浸った。

 思い出されるのは2年8カ月前。10年九州場所2日目で、無敵だった白鵬の連勝を63で止めた。ただ「あのときとは立場も違う」という。前頭筆頭だった当時は無我夢中だった。だが、今回は責任ある大関。13日目で優勝を許した責任の方を痛感していた。「ふがいなさを感じます」。その悔しさをぶつけた。

 綱とり場所だった今場所。7日目までに3敗し、場所後の横綱昇進はなくなった。だが、ここにきて2横綱を連破。千秋楽で大関琴奨菊(29=佐渡ケ嶽)に勝って12勝にすれば、来場所に「綱とり」がつながる。「いろいろ勉強させてもらう場所ですね」。千秋楽の1番に向かって、最後の力を振りしぼる。