<大相撲夏場所>◇7日日◇16日◇東京・両国国技館

 大関日馬富士(25=伊勢ケ浜)が、幕内では自身初となる初日からの7連勝を飾った。新小結鶴竜(23)を押し出して完勝した。大関昇進後の2場所は初日から星を落とすなど精彩を欠いたが、今年3月から青汁を積極的に飲み始めるなどで体調管理を徹底。初のストレート給金に王手をかけた。

 「安馬」時代のスピードと力強さが戻ってきた。鶴竜に低く当たって頭をつけると、日馬富士は素早く左で前まわしを引く。巻き替えようとした相手の体勢が崩れたところを一気に押し出し。「なかなか手を着かないから、何考えてるか分からなかったよ。でも前まわし取ればね」。モンゴルの後輩を難なく退けた。

 今年初場所は初日から4連敗し、春場所でも初日に星を落とすなど、大関昇進後は苦しい場所が続いた。平幕なら勝てば番付が上がり、3賞を狙うこともできる。だが「大関には優勝して横綱に上がるしかないから」。地位の責任、優勝へのプレッシャー。環境の変化が相撲の歯車を微妙に狂わせた。

 だが、このまま終わるわけにはいかなかった。これまで「ちゃんこに入っている野菜は味が付いているからいいけど、生野菜は味がないから」と生野菜を敬遠してきた。そんな時に出合ったのが「青汁」だった。今年春場所前から大麦若葉を主原料とした青汁を毎日飲み始めた。

 健康食品の青汁には抗酸化力があり、疲労回復効果が期待できるとされている。愛飲する青汁は粉末タイプだが、水で溶く手間も惜しまない。「何でも試してみなきゃね」。また両国国技館の相撲診療所には酸素カプセルがあるため、取組後には毎日のようにカプセル内で体を休める。体にいいことは、何でも取り入れている。

 師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は場所前から「『相手を突き起こして崩したり前みつを取ったり、自分の勝ってきた相撲を取れ』と言ってきた。今場所は気負っていないのが一番いい。波に乗ってきたね」と話した。日馬富士も「これまで大関らしい相撲を取ろうと気持ちが空回りしていた。ずっと勝っていると負ける気がしない」。失いかけていた「安馬」時代の相撲と自信を取り戻し、初の賜杯へまい進する。【山田大介】