日本相撲協会は6日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、大相撲春場所(3月13日初日、大阪府立体育会館)と、年内の全巡業の中止を決めた。<春場所中止の影響>

 ◆入場料

 約10億円の入場料収入を失う。関連したグッズ販売もゼロになる。

 ◆放送権料

 NHK生中継の放送権料、約4億5000万円の収入が消える。

 ◆キャンセル料

 会場の大阪府立体育会館のキャンセル料が発生する可能性がある。

 ◆相撲案内所

 8軒の相撲案内所への損失補填(ほてん)も必要。野球賭博問題の起きた昨年名古屋場所でも補填したが、中止の今回は補償金が数千万円を超える可能性も。関連業者から損害賠償を請求されることも考えられる。

 ◆呼び出しの着物

 呼び出しの着物の背中には、紀文や朝日生命などの広告が入っていた。この広告料も入らない。

 ◆大阪市の経済的損失

 相撲関係者、観客の飲食、宿泊費も消滅。春場所を開催する大阪市の経済的損失も大きい。

 ◆懸賞金

 1本6万円(力士の手取りは5万5000円)の懸賞金がなくなる。横綱白鵬は先場所、473本、2601万5000円の懸賞金を受け取っていたが、ゼロになる。

 ◆給金

 十両以上の関取は年6回、場所ごとに給金を支給される。「ボーナス」のようなもので、勝ち越しが0・5円、金星10円、幕内優勝30円で、場所ごとに加算し、実際には4000倍した金額を得る。横綱白鵬の場合、384万2000円だったが、これもなくなる。

 ◆場所手当

 月給のない幕下以下の力士の給料代わりで正式には「養成員場所手当」。幕下力士は15万円、三段目は10万円、序二段8万円、序ノ口は7万円が支給される。放駒理事長は「場所をやらなかったらご飯を食べるなということができるのか」と話したが、手当が出るかどうかは不透明。

 ◆記録

 白鵬には元横綱朝青龍関の最多7連覇の記録がかかっていた。連覇記録は継続扱いになるのか途切れるのか、記録の扱いも難しくなる。

 ◆地位

 十両への陥落が濃厚だった霜鳳、黒海、豊桜は幕内の130万9000円の給料をもらえるのか。幕下への陥落が濃厚だった北勝力らは十両の103万6000円の給料が維持されるのか。逆に再十両が決まっていた玉飛鳥、益荒海、磋牙司は十両の給料をもらえるのか。地位に関しても議論は必至。