「大関稀勢の里」が今日30日、正式に誕生する。周囲の祝賀ムードは高まり、稀勢の里の行きつけ中華料理店では新メニュー「大関昇進おめでとうコース」が明日12月1日から始まり、相撲専門誌は若貴以来18年ぶりの増刊発売を決めた。今日の大関昇進伝達式は、先代の故鳴戸親方(元横綱隆の里)の遺影が見守る中で行われる。

 大関昇進の決定を翌日に控えた29日、福岡・東区の鳴戸部屋宿舎では伝達式の準備が進められた。会場には、赤いじゅうたんが敷かれ、金びょうぶが立てられた。初場所(来年1月8日初日、両国国技館)の番付編成会議と日本相撲協会の臨時理事会で、大関稀勢の里が正式に決定する。

 この日、稀勢の里は伝達式で述べる口上について聞かれると「どうでしょう」と話し、緊張感には「ないですよ」と表情を緩めた。ある後援者は、祝福メールを送った後「夢がかないました」と返信が来たという。喜びの実感は、周囲にも伝わってきた。

 郷土後援会の事務局が設置されている茨城・牛久市役所には、午前11時から「祝

 新大関昇進

 稀勢の里関」と書かれた垂れ幕が掲げられる。稀勢の里が行きつけにしている「甲子亭」は、明日12月1日から「大関昇進おめでとうコース」の提供を始める。1人2500円(注文は2人以上から)で、新大関の好物であるピータンが入った前菜、エビチリ、タイの煮込み、フカヒレ入り卵スープ、蟹入りチャーハン、「祝」の焼き印が入った蒸しカステラが食べられる。

 専門誌「相撲」を発行するベースボール・マガジン社は、12月16日に「稀勢の里大関昇進記念号」を発売する。大関誕生に伴う増刊号の発売は、若乃花が昇進した93年以来18年ぶり。編集部員は「社としても応援したい。注目度も高いですしね」と話している。

 伝達式は、故鳴戸親方の遺影が見守る中、行われる。恒例の騎馬は、自粛する予定。粛々と、協会からの使者を待つ。【佐々木一郎】