<東都大学野球:東洋大4-0亜大>◇最終週最終日◇31日◇神宮

 東洋大が亜大との大一番を4-0で制し、戦後初の4連覇を達成した。ロッテ3位指名の上野大樹投手(4年=帝京)が、前日2回戦の完投勝ちに続いて連続先発。松永隆太外野手(4年=九州学院)の2ランなどで挙げた4点を守りきり、完封勝ちした。4連覇は1940年の専大以来68年ぶりの快挙。2日連続勝利で5勝目をマークした上野は、MVPと最優秀投手賞の2冠に輝いた。

 今秋、東洋大の大黒柱に急成長した上野が、V4のかかったマウンドで仁王立ちした。前日、125球完投勝ち後、ロッテの3位指名を知った。夜には「上野さーんへ。ボビー・バレンタイン」と書かれた色紙とボールが、上野に届けられた。気持ちが高ぶり、大一番の朝は午前6時すぎに目が覚めた。それでも高橋昭雄監督(60)から連投を打診され「行けます」と胸を張って応じた。

 1回、いきなり1死二塁のピンチを背負った。2死三塁となり迎えたのは広島1位指名の亜大4番・岩本貴裕。「自分の最大のライバル。前日2安打され、苦手意識があったが、気持ちで押した」と上野。カウント2-1から宝刀のスライダーで空振り三振に仕留めた。2打席目も三振に切るなど4打席凡退させた。ライバルを封じ込んで波に乗り、無四球の101球完封勝ちで、4連覇のゴールに飛び込んだ。

 昨年は大エースの大場翔太(現ソフトバンク)がいた。今年はスター不在。春は1、2年生の若い投手が踏ん張り、秋は最上級生の上野が意地を見せた。次は神宮大会。高橋監督は「スター不在をみんなでカバーしてつかんだ4連覇。この勢いを大事にしたい」。昨秋神宮、今夏大学選手権に続く大学全国大会3連覇を目指す。【佐々木紘一】