練習試合中日対ロッテ 3回裏中日1死、右越え先制本塁打を放つ加藤(撮影・清水貴仁)
練習試合中日対ロッテ 3回裏中日1死、右越え先制本塁打を放つ加藤(撮影・清水貴仁)

ルーキー藤原の活躍が目立った中日-ロッテ戦。日刊スポーツ評論家の里崎智也氏(42)は静かで、でも激しい両軍の捕手争いに着目した。

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新監督になったチームに起こる一番の変化は、強くなる・弱くなるの前に、使われる選手が変わることが挙げられる。その好例が「8番捕手」で先発出場した中日加藤だった。

4回の守備で二塁走者のロッテ田村が飛び出した時のスローイングは驚いた。アウトにはならなかったが、肩の強さならソフトバンク甲斐にも劣らない強さがある。あの肩は武器になる。

3回には岩下から先制アーチを放った。12球団相手の今季初実戦で、1打席目の初球をホームラン。ドラゴンズは正捕手が定まっておらず、チャンスがある中で抜てきに応えた。ポジションを奪いにいく立場の選手たちにとっては、シーズンの活躍より2月、3月の活躍が大事だ。ここでアピールしないと開幕後の出番はない。インサイドワークやリードは試合に出れば後から身に付く。今は試合に出続けることが最優先。そのためには強肩やホームランと言った、目に見える結果、数字がほしい。

その意味で、田村に次ぐ第2捕手の座を狙うロッテ吉田も打席で“一発回答”した。こちらも12球団との初試合。途中出場して9回2死一塁からセンターオーバーの適時二塁打を打った。加藤も吉田も、ともに打撃を課題とする中、誰の目にも明らかな結果を残した。ただ、これだけでは足りない。レギュラークラスならこの時期の成績はアベレージでいいが、追いかける人間は結果を出し続けなければいけない。

このまま開幕戦に向けて、調子を落とすことなく競争を勝ち抜けるか。レギュラー組をおびやかせるか。追走するメンバーの頑張りは、全体の層を厚くすることにつながる。開幕まであと1カ月半。人生をかけた捕手争いに注目したい。(日刊スポーツ評論家)

練習試合中日対ロッテ 9回表ロッテ2死一塁、中越え適時二塁打を放つ吉田(撮影・清水貴仁)
練習試合中日対ロッテ 9回表ロッテ2死一塁、中越え適時二塁打を放つ吉田(撮影・清水貴仁)