阪神対中日 7回裏阪神無死、マルテは遊ゴロ敵失で二塁進塁もベース手前でヘッドスライディングし、阿部からの送球でタッチアウトになる、右は京田(撮影・加藤哉)
阪神対中日 7回裏阪神無死、マルテは遊ゴロ敵失で二塁進塁もベース手前でヘッドスライディングし、阿部からの送球でタッチアウトになる、右は京田(撮影・加藤哉)

阪神が0-1で敗れ、27日ぶりの甲子園勝利にわずかに届かなかった。日刊スポーツ評論家の桧山進次郎氏(50)は、青柳の力投やもり立てた守備に収穫を見いだしつつ、残り23試合でチームがCSに生き残るため「打つ準備」を説いた。

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試合の中で痛かったのは7回のマルテの走塁です。三遊間へのゴロを放ち、一塁に全力疾走。内野安打を決めました。ですが、一塁送球が後逸となったのを見て、二塁を奪おうとしてアウトに。得点圏に行こう、という気持ちはとても分かります。ただ、送球も二塁手がカバーしているのも見えていたはず。1点ビハインドでの先頭打者。点差、状況を考え、熱いハートの中に冷静さが欲しかった場面でした。

終わってみれば、大きなチャンスはその7回だけ。なおさら「もったいない」と感じるプレーになってしまいました。

もちろん、いいプレーが随所に見られた試合でもありました。何より、青柳は1点を取られて負けましたが、コースは間違っても球を低めに集める投球を続け、内野ゴロの山を築きました。野手が「申し訳ない」と思わないとダメな内容だったと言えます。野手陣もしっかりとゴロをさばき、守備で投手やチームをもり立てるプレーを続けていました。9回の大山のバント守備も見事でした。

しかし、結果は0-1での敗戦。点差は1点ですが完敗です。気になったのは打撃に関する「準備不足」です。

「もったいない」と思えたのは大山の打席。7回はヒットを放ちましたがファーストストライクを見逃し、9回1死一塁でも初球の直球を見逃しました。立ち遅れているように見えます。「立ち遅れ」は技術の問題ではなく、準備できているかどうかが大きく左右します。

準備は次打者で待っているときだけ行うものではありません。2人前の打者への配球はどうなのか、他の打者への攻め方は…ベンチで考え、準備を重ねることも重要です。チームも小笠原に対し、打つ球を絞り切れていなかったかな、と思います。

先週は勝ち星を重ね、この日もディフェンス面では、もり立てることができていました。だからこそ「打つ準備」を大事にしてもらいたい。残り23試合。1試合1試合集中し、準備だけは欠かしてはいけません。

阪神対中日 9回裏阪神1死一塁、大山は投ゴロ併殺打を放ち試合終了(撮影・加藤哉)
阪神対中日 9回裏阪神1死一塁、大山は投ゴロ併殺打を放ち試合終了(撮影・加藤哉)