ソフトバンクの勝利は、今のチーム状況では理想的な勝ち方だった。1-0で守り勝った。決勝点は先頭の甲斐が四球で出て、川島がバントで送り、今宮がヒットで決めた。いい点の取り方だった。

最近のソフトバンク打線は状態がいいとは言えない。直近10日間を見ても8試合で21点。1試合平均3点も取れていない。ここからは1戦必勝の試合が続く。調子が上がらない選手を待っていたらシーズンが終わってしまう。巨人原監督が坂本勇にバントさせたように、同じ状況で主軸に回っても、何でも振らせるのではなく動かして、大事に1点を取りにいきたい。

首位西武を追う立場。CSで対戦しても、打ち合いをしたら勝てないだろう。西武に対して、するべきは8-7で勝つ野球ではない。防御率がリーグ1位と、投手陣と守備で頑張っているのだから、1-0で守り勝つ野球をするしかない。相手と同じ土俵で戦う必要はないのだ。

逆に言えば防御率リーグワーストの西武には、ロースコアに持ち込めれば勝機がある。だからこそ一気に大量得点を狙うのではなく、1点ずつでも大事に加点して、最少失点に抑えることが重要になる。

西武とソフトバンクなら強力打線同士、点の取り合いがイメージされるかもしれない。でも今のホークスの強みは、そこではない。例年とは違う戦い方を強いられるが、今日のようなゲームができれば逆転が見えてくる。(日刊スポーツ評論家)