序盤からソフトバンク打線が一方的に得点を加え、4回表が終わった時点で7-0。普通ならワンサイドーゲーム。正直、私自身も「こんな試合になって、西武の野手はかわいそうだなぁ」と思ってしまった。しかし、2年連続でチーム防御率が最下位で、2年連続で4点台で連覇したチームは記憶にない。西武打線の「恐ろしさ」は、ここからだった。

4回裏の2死から外崎がソロで1点を返した後だった。続く山川が二遊間をゴロで破るヒットを放つと、一塁ベースを回ったところでポーンと手をたたいた。ホームラン打者の山川にとって、納得のいく安打ではなかっただろう。4回とはいえ、この時点で6点ビハインド。2死から単打で喜んだり、気合を見せるのは、少し恥ずかしいのではないか、と一瞬だが思ってしまった。しかし、チーム全体に「打ち返して試合を引っ繰り返すぞ」という意気込みに満ちていた。

5回裏には3点を返したが、6回にはグラシアルがダメ押しソロ。せっかく追い上げただけに、野手は「いったい何点取ればいいんだよ」と感じてしまうもの。しかしその裏、1死一塁からメヒアが三塁ゴロで全力疾走し、併殺を防いだ。当たり前だと思う人もいるだろうが、この展開で一生懸命に走る外国人選手はなかなかいない。

思えば今季、なかなか出番の与えられなかったメヒアは、いつも一生懸命にプレーしていた。今試合はスタメンから外れた栗山にしても、どんな状況でもふてくされず、頑張っている。外国人やベテランがこういうスタンスでプレーすれば、レギュラー陣は手を抜けない。逆転には及ばずにチームは2連敗。それでも迫力満点の西武打線なら、何とかしてくれそうな予感は消えていない。(日刊スポーツ評論家)