日本ハム金子のピッチングを久しぶりに見て、オリックスで勝ち星を挙げていたころに戻りつつあると感じた。広島との試合では7回から登板し、7、8回は外角に見事に制球していた。スタンドから見ていると、外へのボールをテーマにストレート、チェンジアップ、カーブ、スライダーをまったく同じ腕の振りで操り、確実に制球していた。

3イニング目になると、はじめて左打者の内角を突いて打ち取っていた。外への制球をクリアして、3イニング目はインコースをどれだけ正確に投げきるか、テーマを1段階上げたように感じる。

先発として活躍してきた時期から、今は低迷しているが、復調への道は見えている。厚沢投手コーチは「金子は先発にこだわりは持っていません」と言っていた。今季の目標を、70試合登板と規定投球回数のクリアとしているそうだ。先発ではなく、中継ぎとして連投を前提にシーズンを通して投げきる意欲を感じる。

「ドライブライン」という、100グラムから2キロまでの重さの異なるボールを使ったトレーニングに励んでいる。そうした新しいことに取り組むところにも、今季に復活を期す姿勢が見える。持ち球すべての完成度が高く、そのすべてで勝負できるのが本来の姿。そんなピッチングがまた見られると、この日の金子を見て感じた。(日刊スポーツ評論家)

日本ハム対広島 手を叩きながらベンチに戻る日本ハム金子(撮影・佐藤翔太)
日本ハム対広島 手を叩きながらベンチに戻る日本ハム金子(撮影・佐藤翔太)