甲子園で日本ハム吉田輝星投手の投球をみたが、このマウンドに限っていえば、開幕1軍への道のりは険しいと言わざるを得ない。6回からの2イニングをなんとか無失点にしのいだが、計47球はいかにも多すぎた。

今後に向けての課題は山積している。まず9人の打者に対して4四球はいただけなかった。フォームとしては投げる際に左膝が突っ張るため、ボールが落ちたり、引っ掛けて、コントロールが定まらなかった。

ボール球が続くことで力みが生じて、テンポの悪さにつながる負のスパイラルだ。対戦した9人中4人が右打者だったが、意図的に投げていないのかもしれないが、内角を狙った配球が少ないのも気になった点だ。

またクイック投法にも磨きをかけてほしい。6回は2つの四球を許して盗塁を仕掛けられた。いずれも捕手宇佐見が刺したが、吉田輝が動いた瞬間からミットに収まるまでの「1・2秒超」は遅いほうで、ここも解消したい。

ただ潜在能力の高さは随所に伝わってきた。6回無死一塁。5番マルテを142キロの外角ストレートで見逃し三振に仕留めた1球などには、球質に“重さ”を感じさせるなど、非凡なものをみた。

昨季と比べて変化球を投げたときに右腕が緩む傾向が解消されつつあるのもレベルアップした証拠だろう。これから反省材料を克服しながら、できるだけ早く1軍戦力に成長してほしいものだ。(日刊スポーツ評論家)

阪神対日本ハム 6回から登板し2イニングを無失点に抑える吉田輝星(撮影・清水貴仁)
阪神対日本ハム 6回から登板し2イニングを無失点に抑える吉田輝星(撮影・清水貴仁)