3回表ロッテ1死一、三塁、四球を選ぶ安田(撮影・佐藤翔太)
3回表ロッテ1死一、三塁、四球を選ぶ安田(撮影・佐藤翔太)

ロッテはチーム成績で際立った数字はない。得失点差マイナス3で貯金12もあるのは不思議だ。ただパ・リーグで唯一、派手さはないがコツコツとした野球をする。現役時代を通じてパワーが武器のパでそういうチームが上位に行ったのを見たことがない。

打線の特長として、前でさばく打者が少なく、ボールを手元まで引きつけるタイプが多い。捕手からすれば1発長打も怖いが、ポイントが近く、よく見てしぶとく食らいついてくるのも嫌なものだ。1試合平均4・4個の四球は90年以降でリーグ1位。極端なことを言えば無安打でも4個の四球を集めて1点を取れる。長距離砲も少なく、相手が警戒したというよりも、打者が勝ち取った四球と言える。

3回表ロッテ1死一塁、一走角中は二盗を決め、日本ハム清水の悪送球の間に三塁に進塁する(撮影・佐藤翔太)
3回表ロッテ1死一塁、一走角中は二盗を決め、日本ハム清水の悪送球の間に三塁に進塁する(撮影・佐藤翔太)

3回1死一塁でエンドランを仕掛け、中村奨は空振りしたが捕手の悪送球で一塁走者の角中は三塁に進んだ。足も絡めてくる。井口監督の就任1年目はとにかく走らせた。盗塁企画数はリーグトップの181回。昨季はZOZOマリンの本塁打ゾーンが狭くなって長打を求めた結果、110回でリーグ4位に下がった。だが今季はチームカラーに立ち返り、84回でトップに立つ。目立つ選手はいないが、選手は首脳陣の求める野球を意識している。

3回表ロッテ2死満塁、佐藤の2点適時二塁打で生還した中村将と角中を出迎える井口監督(中央)(撮影・佐藤翔太)
3回表ロッテ2死満塁、佐藤の2点適時二塁打で生還した中村将と角中を出迎える井口監督(中央)(撮影・佐藤翔太)

一方でバッテリーに課題はある。正捕手の田村が故障で離脱した影響は大きい。3点リードの3回1死一、三塁で日本ハム松本にカウント2-2からエンドランを決められた。三振ゲッツーなら好機が一気につぶれてリスクのある奇襲だ。それでも決まる確率が高いと相手に思わせるスキが中村稔と柿沼のバッテリーにはあった。今後、スキを埋める必要がある。

00年代のロッテも強い時期があったが西岡、福浦、サブロー、今江、里崎、そして今、指揮を執る井口監督と個々の質は高かった。今のロッテは当時から比べると異質だ。首位ソフトバンクからすれば嫌な相手だろう。(日刊スポーツ評論家)

パの1試合平均獲得四球最多チーム(90年以降、20年は9月18日現在)
パの1試合平均獲得四球最多チーム(90年以降、20年は9月18日現在)