8回表に二塁植田、三塁糸原、一塁大山という守備交代があった。

今季よく見られる用兵だが、私は常に疑問を感じている。マルテの守備固めなら、陽川を使えばいいだけだ。そこに不安があるなら、一塁の守備要員を作っておくべきだ。シーズン通して、こういう起用をすれば、1つのポジションに対する責任感が生まれない。本塁打王を争うほどの大山には、サードを任せた、という方針でいい。

ドラフト1位で近大・佐藤輝を指名した。内外野を守れるということで、プロでどこを守るかというのが注目点になる。外野の選択肢もあるだろうが、若いうちは内野を守ったほうがいい。後になってから内野へのコンバートはプロの世界では困難な作業だ。阪神の外野陣ではドラフト1位で獲得した高山を何としても育てないといけないし、高卒新人の井上もいる。長打力に魅力のある佐藤輝は一塁で起用するのもいいだろう。一塁に守備力のある選手を置くと、内野全体が締まる。フットワークがあれば、ベースから離れて守れるので、一、二塁間を狭められる。後方の飛球やバント処理も対応できる。守りでも戦力になる。

冒頭で言った大山の話ではないが、佐藤輝を育成するためには、守りをどうするかが重要になる。間違っても内外野両にらみなどではなく、1つのポジションでじっくりと鍛えるべきだ。(日刊スポーツ評論家)