近鉄、日本ハム、楽天で監督だった梨田昌孝氏(67=日刊スポーツ評論家)が、巨人の沖縄キャンプに潜入し、虎目線でチームを分析した。3年目の大型左腕・横川凱投手(21)の成長を秘密兵器として警戒。打倒巨人のカギを握るのを矢野監督のベンチワークとした。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

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阪神にとって最大のライバルが巨人であるのはキャンプからみてとれた。原監督から「重み」のような空気が伝わってくるのも自信の裏付けかもしれないね。

梶谷、井納の加入、菅野が残留したことで戦力層は厚みを増した感が強かった。菅野、岡本和の投打の柱は2人とも体が絞れて油断はなさそうだね。

ブルペンで目に留まったのは左の横川だ。3年目で身長190センチの上背から角度のついた投球をみせていた。それもワインドアップに入るしぐさが大投手の金田正一さんに似てるんだよ。

そりゃあ剛球だった金田さんほど速くはないさ。でもコントロールも良くなったみたいだね。横川の投球を受けるキャッチャーの真後ろからみたが、雰囲気をもってるし、可能性を感じたね。

原監督の期待も大きかったよ。先発は菅野から、戸郷、サンチェス、井納、その後を今村、畠、高橋らが争う。新人平内もいて、そこの競争に横川が食い込んでくれば面白い。原巨人の秘密兵器だね。

リリーフも高梨、デラロサがいて、抑えが予想される中川もいい球を投げていた。今後も補強を狙ってるかもしれないが、中継ぎをもう1枚作りたいところだな。

新外国人スモーク、テームズは、新型コロナウイルス感染の入国制限で来日が未定のままだ。開幕から出遅れても、坂本勇と丸がいて、経験のある中島、亀井らで得点力はキープできるよね。

戦力的にみて巨人はV候補の1番手だろう。ただ阪神も十分に対抗できるまでの戦力はそろっている。外国人次第といえるけど最低でも対戦成績を5分に持ち込みたいな。

矢野監督がどこまで戦力を使いこなすか。相手がどう出てくるかではなく、こっちから動いていい。ベンチが先読みし、先に、先に手を打っていきたい。ベンチワークが明暗を分けるだろうね。

練習中、髪を触る、左から巨人横川、大竹、井納(撮影・江口和貴)
練習中、髪を触る、左から巨人横川、大竹、井納(撮影・江口和貴)