阪神が0-1で今季初黒星を喫し、開幕からの連勝は3でストップした。ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)は4打数1安打、3三振。7回は右前打から二塁を狙ったヘッドスライディングで走塁死となり、9回は最後の打者になった。

広島対阪神 7回表阪神1死、右翼線へ安打を放つ佐藤輝、しかし二塁を狙うもアウトとなる(撮影・清水貴仁)
広島対阪神 7回表阪神1死、右翼線へ安打を放つ佐藤輝、しかし二塁を狙うもアウトとなる(撮影・清水貴仁)

佐藤輝にとって、森下との対戦は悔しさの残る内容だっただろう。4回の2打席目は、ヒットと2四球で満塁のチャンス。そこで初球の真ん中ストレートを見逃した。キャンプ、オープン戦を見て、あの押せ押せの場面で振りにいけなかったのは、彼らしくなかった。その伏線は、2回の打席にあった。2月の練習試合では直球をはじき返し、二塁打を放ったが、そこで見ていない球種がカーブだった。1打席目の対戦では、カーブを2球投げられて三振を喫した。最後に空振りしたカーブは、プロでもなかなか見ることのないブレーキの利いたものだった。

30日、広島投手陣の佐藤輝明への配球 ○=直球、△=カーブ、左向き三角=スライダー、▽=フォーク、□=チェンジアップ、◇=カットボール。下線はファウル、★は空振り、白抜きは最終球、数字は球速
30日、広島投手陣の佐藤輝明への配球 ○=直球、△=カーブ、左向き三角=スライダー、▽=フォーク、□=チェンジアップ、◇=カットボール。下線はファウル、★は空振り、白抜きは最終球、数字は球速

あの落差とキレが頭に残っていたことが伏線となり、4回の初球、真ん中の直球に手が出なかった。見逃したことで投手が優位に立った。森下はカーブ以外にもチェンジアップ、スライダーなども投げられる。追い込まれてからは、足の動きを小さくして、すべてのボールに対応しようとしているように見えた。全部の球種を追いかけたところに、力のあるボールが真ん中にきて、空振り三振となった。いい投手になればなるほどピンチの時に、コントロールを間違えないものだ。それでも失投はある。それを打つことで打率を残したり、チャンスに強い打者になる。

広島対阪神 6回表阪神1死、佐藤輝は右前安打を放つ(撮影・岩下翔太)
広島対阪神 6回表阪神1死、佐藤輝は右前安打を放つ(撮影・岩下翔太)

ただし、佐藤輝は今のスタイルを変える必要はない。シーズンに入って、いろんな投手と対戦して、1つ1つの球筋や間合い、タイミングを覚えていくもの。今はいろんな経験を積む段階だ。今まで通り、積極的に若いカウントから持ち味のフルスイングしていけばいい。確かに追い込まれてからの三振が増えているが、原因はマークされているからこそ。甘く入ったら、スタンドに持っていかれる。どの球団のどの投手もクリーンアップレベルにマークしており、攻め方はかなり厳しい。ヒットが出なくても当たり前の状況だ。そんな中でも安打を記録した。7回の走塁は誰もが二塁を狙うケースで、行かないほうが消極的な走塁ととられる打球だ。選球眼は悪くない選手。見極められたら四球も増える。開幕カードの本塁打に見られるように、実力は申し分ない。(日刊スポーツ評論家)