オリックス宮城は高卒2年目で11勝を挙げ、貯金10を作っているのは文句のつけようのない成績だ。被打率を見ても右打者に1割8分3厘、左打者に2割2分9厘と高い水準で抑えているが、この左右差が終盤の戦いに向けて気になるポイントだ。

ロッテ打線はスタメンに左打者4人が並んだが、投じた内角球はわずか3球ほどだった。これまで内角を多く使わなくても、威力のある外角へのクロスファイア、キレのあるスライダーを軸に外の出し入れで抑えてきた。だがこの日は球審のクロスファイアに対する判定が厳しく、武器の1つを封じられた形になった。見せ球でも内角を時折、使えば打者の踏み込み方も変わる。だが内角の選択肢が打者の頭の中になく、ボールになる可能性が高かったクロスファイアに目付けをされ、他の球種の対応がされやすくなった。

攻め方が窮屈になれば四球が増える。全4四球を左打者に与えたが、今季通算でも右打者275人で12四球に対し、対戦の少ない左打者が194人で19四球と上回っている。対戦機会が増え、相手も対応してきている。シーズン中に急に内角へ投げ出すことは難しいが、少しずつ割合を増やしていく必要がある。

私も捕手目線で左腕をリードする時に左打者に対して外角へ行きがちだった。左打者の外へ遠ざかる軌道となるため、どうしても打ちにくいだろうという感覚に陥りやすかった。左腕のリードは捕手として苦手だなという自覚もあったが、窮屈であってもどこのタイミングで投げさせることが効果的かを考えていた。

シュート系が投げられればいいが、そうでなくても山本昌さんならスクリューが内角に食い込ませる球種として代用できた。ソフトバンク和田は直球で内角をしっかりと攻め、被打率の左右差がない。各球団とも左打者に主軸が多く、左腕として左打者を攻略することが将来的にも重要になる。高いレベルでの要求になるが右腕の山本と並び、絶対的に勝ち星を計算できる投手のため、課題をクリアしてほしい。(日刊スポーツ評論家)

オリックス対ロッテ 2回表を終え、ロッテに3点を奪われがっくりとベンチに戻る宮城(右)。左は捕手伏見(撮影・前岡正明)
オリックス対ロッテ 2回表を終え、ロッテに3点を奪われがっくりとベンチに戻る宮城(右)。左は捕手伏見(撮影・前岡正明)