日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(40)が、ロッテ佐々木朗希投手との再戦を控えるオリックス打線に「相手が嫌がること」「最悪を削る作業」の徹底を提案した。12球団で唯一チーム打率1割台の打線はこの日、防御率0点台前半のロッテ先発ロメロに幻惑され、今季6度目の完封負け。24日には2週間前に完全試合を許した「令和の怪物」との再戦が待つだけに、さらなる工夫の大切さを強調した。【聞き手=佐井陽介】

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オリックス打線はもう少し「相手が嫌がること」を意識しても良かったかもしれません。ロッテ先発は防御率0点台前半のロメロ投手。走者なしの場面では頻繁にテンポを変えてくる。一方で、走者を背負うとテンポが一定になりがち。そんな難敵に対して、やや工夫が足りなかったように映りました。

タイミングを崩すために、わざとタイムをかけてみる。セーフティーバントの構えを繰り返して揺さぶりをかけ続ける。相手が嫌がる方法はいくらでもあります。打線が点ではなく線にならなければ、好投手からはなかなか点を取れません。たとえアウトになっても次の打者を楽にする作業の積み重ねが、もう少し必要だと感じました。

この日に限れば、最低限の役割を全うできない場面も目立ちました。1点を追う3回1死一、三塁では2番福田選手が二塁左への強いゴロで併殺打。一塁走者の俊足、佐野皓選手がスタートを切っていた1球。いい当たりではありましたが、センターラインさえ外せばゲッツーは防げる場面でした。3点を追う7回1死一、三塁では代打杉本選手が1度もバットを振ることなく見逃し三振。ボテボテのゴロでも1点をもぎ取れば、また流れは変わっていたかもしれません。

オリックス打線は現在、チーム打率が12球団で唯一の1割台。レベルの高い投手から得点を奪うためには、今まで以上に「相手が嫌がること」「最悪の結果を削る作業」の徹底が必要ではないでしょうか。2日後の24日には、2週間前に完全試合を許した佐々木朗投手との再戦が待ち受けています。どれほどの強力打線でも力負けする可能性が高い投手。チームとしても、個々としても、絶対に工夫が欠かせません。

この日のロッテ中村奨選手のように、無死二塁であれば右打ちを徹底する。ひたすらフォークを狙い続けて投げづらくする。追い込まれたら「粘り」に専念する。佐々木朗投手との再戦では、次の打者を楽にさせる意識をさらに強める必要がありそうです。(日刊スポーツ評論家)